tohryufd’s diary

消防クリエイターとしての奮闘記

藤龍消防便り第43号

藤龍消防便り(とうりゅうしょうぼうだより)🚒第43号🚑2022年8月26日👨‍🚒

今号では、やまゆり園の元入居者で事件の被害者である「尾野一矢さん」について語ります。
<尾野一矢(おのかずや)さん>
重度の知的障がいと自閉症のため、 12歳で障害児施設に入所し、23歳で津久井やまゆり園に移りました。事件当日に植松死刑囚により首や胸などを数ヶ所刺され重症を追わされ、その後救急搬送され一命は取り留めた。事件のショックにより人間不信に陥りさらに閉鎖的になった一矢さんをご両親は温かく見守り献身的に支え続けています。実は、お父さんと一矢さんの間には血の繋がりはありません。
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<一矢さんのお父さん>
クリーニング店を営んでいた剛志(たかし)さんは一矢さんを実のわが子のように可愛がり、仕事と介護の両立が難しくなりやむなく一矢さんを施設に預けますが、仕事が休みの日にはできるだけ施設を訪問。また施設内の行事などにも出向き、積極的に参加をし、ふれあいを持ち精一杯の愛情を注ぎ、一矢さんとの絆を深めて行きました。自分の実の子供でさえ虐待や育児放棄をする親もいるなか、血の繋がりのないましてや障がいのある子供に愛情を注ぐことはなかなかできることではありません。一矢さんも剛志さんのことを「お父さん」と呼び慕っています。「初めてお父さんと呼んでくれたとき、涙が出てきた。嬉しかった。」と語る剛志さんを私は心より尊敬をし、剛志さん一矢さん親子を微笑ましく思います☺️
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<一矢さんの必死の行動が・・・>
職員の供述により、事件当日の一矢さんの行動が明らかとなりました。身体を数ヶ所刺された一矢さんでしたが、なんと自力で部屋から「痛い」と言いながら出てきたのです。結束ベルトに縛られた職員は一矢さんを励ましながら「ケータイ持ってきてくれるかな❓四角いの📱」とお願いしました。すると一矢さんは痛いと言いながらも血だらけの身体で必死にケータイを探して職員に渡したそうです。ケータイを受け取った職員は動かせる指を使い、なんとか警察に通報。その後駆けつけた警察や消防による救護活動が開始され、世間もこの事件を知ることとなるのです。あのとき、一矢さんの勇気ある行動がなければ、発見が遅れ被害がもっと拡大したでしょう。一矢さんのおかげで命が救われた方もいるでしょう。この事実を知ったとき、剛志さんは「うちの子は立派だ。誉めてあげたい。」と号泣したそうです。一矢さんはきっと「自分がやらなくては」と思い必死に頑張ったと思います。この行動でも分かるように、お互いの気持ちが通じ合えばちゃんと意志疎通はできるのです☝️
<自立に向けて>
現在、一矢さんはやまゆり園には戻らず、ヘルパーの大坪さんのサポートを受けながらアパートで一人暮らしをしています。一矢さんは自室を「かずんち」と呼び楽しく暮らしてるそうです。以前より自己主張が強くなり、食べたいものや行きたい場所も自分の意志で決めています。ただ、一矢さんは突然大きな声を上げたり、奇声を上げるため、度々、周辺住民の方々に迷惑をかけることもあるそうです。この状況をなんとかしようと大坪さんは一矢さんと一緒に一軒一軒周りお詫びと一矢さんへの理解を求めようとしますが、一矢さんはこれを拒み、大坪さんがまずは一人で一軒一軒お菓子を持ってお詫びと一矢さんの障がいを詳しく説明した上で、一矢さんへの理解を求めています。
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<まとめ>
一矢さんの努力や大坪さんのサポートがあり周辺住民の方々も徐々に一矢さんを認識し、理解をし受け入れて頂けるようになっています。「障がい者でもこうした形で立派に自立できることを植松にも伝えたい。」と語る剛志さん。植松死刑囚の歪んだ思想による犯行がいかに身勝手で愚かなことだったかが十分お分かり頂けたと思います。心身共に深く大きい傷を負いながらも自立に向けて歩き始めた一矢さんを見習い、私も1日でも早くグループホームから巣立ち、自立と社会復帰のため改めて一歩一歩進んで行こうと思う次第です。それではまた「次号」で☺️バイバイ👋

藤龍市消防本部初代消防長
消防司令長
消防クリエイター
伊藤龍一