tohryufd’s diary

消防クリエイターとしての奮闘記

藤龍消防便り第32号

藤龍消防便り(とうりゅうしょうぼうだより)🚒第32号🚑2021年12月21日👨‍🚒

また痛ましい火災(事件)が発生してしまいます😔既に別の内容を考えて準備をしていましたが、急きょ内容を変更して、先日、大阪で発生した「放火事件」について、私の見解を中心に語ります。尚、詳細や概要は皆さんニュース等でご存知だと思いますので省かせて頂きます。
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<消防法の盲点>
この火災がここまで延焼をし被害が拡大した一因に「スプリンクラー」が付いていなかったことが挙げられます。消防法では建物の延べ面積や用途により設置基準が細かく決められています。これにより「設置義務がある建物」と「設置義務がない建物」が存在します。今回の建物には設置義務がなかったというわけです😐同じような建物でも用途により設置義務の有無が分かれてしまうのが「消防法の盲点」と言えるのではないでしょうか❓😐
<スプリンクラーとは>
建物の天井に付いてる消火装置で、火災発生時に熱等を感知し、自動(手動式もある)で散水を行い初期消火に大変有効なのです。
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<私が暮らしているグループホームでは・・・>
現在、私にとっては「仮住まい」であるグループホームには20名が入居できます。全個室なので個々のプライバシーは完全に守られています。建物は「A棟」「B棟」「C棟」の構成で3棟とも平屋建て。C棟(仕事場)を除くA棟とB棟に各10名ずつ居住しています。このうち、スプリンクラーの設置義務があるのは私のいるB棟のみ。消防法では述べ面積が「275㎡以上」でなければスプリンクラー設備の設置義務はないとされています。さらに介護施設等については、介助がなければ避難できない入居者がおおむね8割以上でなければスプリンクラー設備の設置義務がないとされています。私のいるB棟は、比較的(身体的に)障がいが重く、車椅子や杖、歩行器等の補助具を使用しないと移動が困難な者を入居させる用途によりスプリンクラーが付いているわけです。現在B棟には自立歩行ができる者は私を含めて3名。そのうち、避難時に介助が必要な者が2名。いざというときに自分の判断で行動できるのは私のみです(実際に避難するときは私も職員の指示に従いますが、とっさの場合は私の判断で動くこともあるという意味です)。ちなみにA棟の場合は比較的障がい(身体的)が軽く、補助具の必要がない者を入居させる用途によりスプリンクラーが付いていません。ただ、私は・・・用途別で設置義務の有無が変わることに懸念を示しているのです😔
<今後の課題>
おそらく今回の火災(事件)により消防法の見直しの動きがあるでしょう。それに伴いスプリンクラーの設置基準も見直されるでしょう。またそれと同時に課題も出てくるでしょう。既存建物に対しての設置義務もそのひとつでしょう。新たに設置するためにはそれなりの費用も手間もかかります。現時点ではこういった設備投資のための「補助制度」はないそうです。今まで設置義務がなかった既存建物に対しての対応を明確にする必要があると私は思うのです。
<意識改革の必要>
スプリンクラーはないよりあるほうが絶対にいいです☝️「設置義務がないから付けなくてもいい」という考え方を改めない限り、悲劇は繰り返されます。粗い言い方をすると「火をなめるな❗」ということです。特に「災害弱者」と呼ばれる方々が多数利用する施設等には延べ面積や用途別での設置基準関係なしで万全な設備投資をしても当然だと私は強く思います😤
<終わりに>
放火は反社会的であり、絶対に許されざる行為。ただ、放火をさせない環境整理や仮に放火されても被害を最小限に抑えるための設備投資をすることが何より大切です。これを機に改めて「防火意識」の底上げが望まれます。今回被害に遭われた方々のご冥福を心よりお祈りいたします💐それではまた「次号」で☺️バイバイ👋

藤龍市消防本部初代消防長
消防司令長
消防クリエイター
伊藤龍一